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コラム・弁護士

 
   

外国人学校の現在

張 學錬
(チャン ハンニョン)

2007年3月

弁護士 ・ 張 學錬 私は、本業の弁護士業(法律事務)以外にも様々な社会活動に携わっているが、その中でも近年大きな動きとなってきたものに外国人学校支援がある。
  インターナショナルスクールとか朝鮮学校・中華学校というのは一般の人にもなじみ深いが、その法的地位についてはおそらく一般の人々には余り知られていないのではないだろうか。
  ここで外国人学校というのは、外国にルーツを持つ子らにその言語や文化の継承を目的として設置された教育機関のこと(特に、子らの発達段階の応じた全般的な教育すなわち普通教育を行っているところをいう)を言うが、特定の文化の継承を目的としないインターナショナルスクールも含めている。
  外国人学校の法的地位の勘どころは、日本の学校教育システムに準拠していないということである。早い話が、一般にある国公立や私立の幼小中高大学で行われていることとは文化的に違う教育をしている学校である。
  こうした学校は、当然のことながら日本政府が学校教育法に基づいて定めた様々な定めとは異なる設備・内容の教育をしているため、どんなによい教育をしていても日本では法的に「学校」と呼ぶことさえ出来ないことになっている。「外国人学校」ではあっても「学校」ではないということなのだ。
  「学校」と呼べないことによってどういう問題が生じるか、これがもっとも重大な点である。
  「学校」は、学制というシステムの中で位置づけられており、そこに位置づけられている限り、卒業すれば上級の学校に進学できることになっている。反対に、6・3・3制でやっている外国人学校であっても、その中等部と卒業して日本の高等学校に進学できるということにはならない。これは、入学資格に関する制度なので、どんなに成績が優秀であっても、進学できないことになっているのだ。だから、仮に中国語が出来ることをねらってその子を中華学校の高等部に通わせた日本人の場合でも、その子は卒業した学校の卒業証書を持っていても日本の大学への進学は原則として出来ないことになるのである。(なお、この点については、最近の運動の成果で一定の改善を見ている)
  もっとも、卒業しても進学できないという程度のことは、別途通信制の高等学校を出たり、検定試験を受けたりして代替することが出来るが、最大の問題点は、私学助成が受けられないことである。
  私立学校は、「学校」であるかぎり、日本政府から相当額の助成が受けられることになっていることは、私立学校に通ったことのある人ならおそらく知っているだろう。しかし、反面、外国人学校に通った場合、日本政府が1円の金も出さないことを知っていることは少ないかも知れない。
  私学助成は、学校に対して出るので、そこに通っているのが日本人であっても外国人であっても原則として関係ない。逆に、日本人であっても外国人学校に通えば、私学助成の恩恵は受けられないのである。(子が日本人の場合は、中学校までの場合正規の学校に通わせなかったとして保護者が罰せられる建前になっているくらいで、実際に通わせるときには行政から大変な圧力を受けることがよくある)
  私学助成のない学校に通うことは、授業料の高い学校に通わなければならないということを意味している。近年非常に増えたブラジル人児童を対象とした学校は、極めて貧弱な物的施設であっても月額3万円とか5万円の費用がかかるのが普通である。これでは、出稼ぎ的な労働者世帯では子だくさんだと学校に通わせることすら事実上不可能になってしまう。
  そればかりでなく、授業料に対する消費税の免税が受けられなかったり、通学定期が使えなかったり、学校の土地建物に対する固定資産税の免除が受けられなかったり、その他諸々の学校を取り巻く便益が原則として剥奪されるのである(各種学校として認可を受け、経営主体が法人格を取得した場合は、異なる)。
  これは、もはやほとんど外国人学校に対する差別であり、弾圧である。外国人学校は何も悪いことをしているわけではないし、親たちは皆日本人と同じ税金を支払っているのである。なぜ外国人学校に行くとそれほどまでの経済的迫害を受けなければならないのか、少なくとも、子らの教育を受ける権利(教育へのアクセス権)を根本にして考える限り、説明は困難であろう。
  少子高齢化を加速させる日本社会は、社会を維持する労働力として外国人に頼らなければならない状況に立ち至っており、国策として日系ブラジル人やペルー人等を急激に大量に導入しているところであるが、彼らがその子らを教育する環境については、全く意に介するところもなく、日本の公立学校に入れば済むだろうとしてきたが、多くの子らが不就学あるいは登校拒否となったり、非行に走ったりする状況に直面して、最近やっと重い腰を上げ始めているが、それとて子らの教育権の保障という観点とはほど遠いのが現実である。
  せめて、このような実態が、将来大きな禍根を日本社会にもたらすのではないか、という視点を日本の政治家や官僚が持ってくれることを期待したい。
 

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