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コラム・弁護士

 
   

まともでない未決拘禁制度

後藤 富士子

2006年4月

弁護士 ・ 後藤 富士子 

「監獄法」をご存知ですか?「監獄法」は明治41年に制定された古い法律で、裁判で刑が確定する前の「未決拘禁」と、確定した「受刑者」の両方を規定した「施設法」であった。名古屋刑務所で起きた看守による暴行事件が契機となって、昨年5月「受刑者」部分については大改正がなされたが、「代用監獄」問題のために、「未決拘禁法」部分の改正は持ち越され、今通常国会に受刑者処遇法と合体させた「法案」が上程され、間もなく成立しそうである。

「代用監獄」をご存知ですか?

「代用監獄」とは、警察官署に附属する留置場を監獄に代用するものである。

戦前は、違警罪即決令(「軽微な犯罪」について裁判をしないで警察段階で即決する)で拘禁して他の事件で自白強要したり、治安維持法違反の被疑者を収容して苛烈な拷問による自白強要の舞台になった。その拷問の凄惨さは、再審事件として知られる「横浜事件」でも明らかにされている。
戦後は、違警罪即決令や治安維持法は廃止され、警察に留置できるのは「逮捕」された被疑者だけで、その後は裁判官が発行する「勾留状」により監獄である拘置所に収容されるのが刑事訴訟法の建前である。ところが、「拘置所不足」を口実にして、取調をする警察の便宜のために、引続き警察留置場に勾留されるのが常態化していた。これが高じて、平成17年の統計では、未決拘禁者の98.3%が警察留置場に収容され、拘置所は僅か1.7%という事態にまで至っている。

法改正で「代用監獄」がどうなるかご存知ですか?「法案」では、警察留置場は「留置施設」と呼ばれ、「刑事施設」である拘置所と同格に格上げされ、もはや「代用」ではなくなる。
警察法2条では、警察の「責務」を「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たること」としたうえで、「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであって、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」と規定されている。したがって、警察は「勾留」事務をできないはずであるが、これができるように警察法も改正される。

こうして、名実ともに「警察拘禁」が合法化され、世界でも比類なき「まともでない未決拘禁制度」が出現するのである。

 

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