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コラム・弁護士

 
   

『平頂山事件とは何だったのか』
平頂山事件訴訟弁護団編著

穂積 剛

2008年9月

弁護士 ・ 穂積 剛

この事務所の弁護士たちは、通常の事件のほかに、誰もが何かしらの「人権課題」を抱えて活動しています。経済的にはほとんど貢献しませんが、正当な権利を抑圧されている人たちのために、採算を度外視して取り組んでいる事件のことです。

これを「ボランティア活動」と表現するのは、当事務所の場合には少し違うように思います。むしろこうした活動に取り組むことが、弁護士をやっている目的の一つとなっていると思うからです。〈弁護士だから、社会貢献の一環として人権課題もやらなければならない〉というのではなく、〈こういう人権活動に取り組むことが、弁護士という職業を選択した理由の一つだった〉、と表現するとわかりやすいかもしれません。

このような意味で私が取り組んできたのが、日本における戦後補償問題の解決です。私は弁護士になってから一貫して、中国における戦後補償問題の一つ、「平頂山事件」の弁護団として活動してきました。
平頂山事件とは、1932年9月16日に、中国東北部の撫順という炭鉱街の近郊にある平頂山という集落で、無辜の中国人老若男女約3000名を、日本の軍隊と警察官、憲兵隊らが重機関銃で虐殺し、遺体を埋めてしまったという事件です。この現場から奇跡的に生き残った被害者たち(中国では「幸存者」という)3名を原告として、日本政府に対して損害賠償請求訴訟を1996年8月に起こしたのが、「平頂山事件訴訟」でした。

私がこの裁判に取り組んできたのは、別に私が「反日」だからではありません。そうではなく、悪かったことは悪かったときちんと事実を認め、被害者に対して謝罪と賠償を行って償いをして、事件の教訓を後世に伝え今後二度と同じような過ちを犯さないことこそが、日本という国の国益にとって絶対に必要なことだと思っているからです。責任をきちんと取って謝ることのできる国の方が、自分のやったことの責任すら取れないような国よりもよっぽど格好いいし、国際世論からも信頼されることは間違いありません。つまりこの訴訟に取り組んできたことは、私の「愛国心」の発露だったというわけです。
このような思いで必死になってやってきた「平頂山事件」でしたが、残念ながら最高裁では2006年5月に敗訴となりました。どうやら最高裁には、「愛国心」が欠如していたようです。

しかしだからといって、私たちの活動が終わったわけではないし、私たちの活動が徒労だったわけでもありません。最大の成果は、原告となった幸存者たちや、事件の舞台となった撫順という都市の市民たちと、解決のための交流を通じて大きな信頼関係を作ってきたことです。市民の自主的活動が制約されている中国ですが、撫順には『平頂山事件幸存者対日訴訟撫順市民声援団』という裁判支援組織までできました。責任を認めようとしない日本政府が信頼を獲得できないのと対照的に、日本と中国の市民の間では着実に真の友好が築き上げられてきたのです。

『平頂山事件とは何だったのか』 平頂山事件訴訟弁護団編著

このような10年以上の中国側との交流の成果をまとめたのが、『平頂山事件とは何だったのか』(高文研)という書籍です。弁護団で分担して執筆して発行した初めての書籍です。裁判の小難しい話ではなく、日中の市民の交流を中心にしてこの10年の軌跡を綴りました。読みやすくなっていると思いますので、ぜひとも皆さまにお求めいただきたくお願いいたします。

 ■ご購入は以下サイト又はお近くの書店にてどうぞ。
出版社・高文研サイト、 セブンアンドワイ、 Amazon

 

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