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コラム・弁護士

 
   

亡国の司法
単独親権・DV防止法・人身保護請求

後藤 富士子

2010年7月

弁護士 ・ 後藤 富士子

1.「子の拉致事件」に変貌する離婚紛争

ある日突然、わが子が配偶者に拉致され、行方さえ分からない。行方が分かっている場合でも、会うことができない。ありふれた離婚事件なのに、「子の拉致事件」になっている。これが、北朝鮮ではなく、日本の現実である。

このような理不尽な目に会わせられて、善良な親は、うつ病になり、自殺する者もいる。苦悩煩悶する親を見ると、どのような理由があれ、夫婦の一方が他方の「親としての存在」を否定・抹殺するなんて、このうえない暴虐・迫害で「不法行為」というほかない。ところが、司法の世界では、これが通じない。配偶者に対する親権侵害とも、親権の濫用とも看做されないから、自力救済する以外に、拉致された子を取り戻すことも、会うこともできない。それなのに、自力救済すれば、略取誘拐罪で弾圧されたりする。

一方、子を置き去りにした妻が、居所を秘匿したまま「監護者指定・子の引渡し」の審判・保全処分を求めると、それが認容され、子の引渡しの強制執行が行われる。その強制執行は、「未成年者目録」に特定された「家畜」の「捕獲」「拉致」さながらである。そして、執行不能になると、「最後の手段」と称して人身保護請求がされ、「拘束者」たる親は、勾引、勾留の脅しにさらされる。

離婚後の「単独親権」制は、親権喪失事由がないのに、裁判官が片方の親から親権を剥奪できるということ。これ自体、不正義というほかないが、離婚成立前は共同親権なのだから、さらに酷いことである。

2. 「DV防止法」---子の拉致・隠匿を権力が「援助」

裁判所に「DV保護命令」を申立てるのは、必ずしもDVの被害が深刻だからではない。むしろ、深刻な被害を受けている「真正被害者」は、保護命令の申し立てができないことも想像に難くない。保護命令申立がされるケースで多いのは、離婚を有利に運ぶための便法と思われる。

【ケースA】では、夫婦の共有不動産(自宅)から夫を追い出そうとして、妻が子どもを連れて家出し、居所不明のまま、DV保護命令申立をした。居所が不明であるから「接近禁止」など無意味であり、真の狙いは「退去命令」にあった。しかし、「退去命令」は「明渡命令」ではなく、妻が自分の荷物を搬出するために一時的に夫に退去を命じるものである。そこで、夫は、妻の荷物を梱包して、妻の職場に連絡して引き取りを要請したところ、妻は、怒り狂って自宅に警察官と乗り込んできた。結局、夫は、荷物を倉庫に預託し、その旨妻に連絡した。1審も妻の申立を却下したが、抗告審では、妻を「DV防止法10条1項にいう被害者には当らず」、申立を認める余地はないと決定した。それにもかかわらず、2年経過する現在まで、妻は住民票を残したままで、夫は子どもに会うこともできないのである。

【ケースB】では、妻がDV被害者支援団体の指南を受けて周到に準備したうえ、子どもを連れて失踪した。朝、夫婦で談笑したのに、夜、夫が帰宅すると「もぬけの殻」であった。夫名義の預金も全部持ち出されている。そして、妻代理人弁護士から通知が来て、離婚と婚姻費用分担の調停申立がされた。偶然、妻の居所が分かったので、4ヶ月後に夫と弁護士とで妻の居所に子どもに会いに行ったが、子どもに会わせてもらえず、夫に対して保護命令申立て、弁護士に対して懲戒請求がされた。保護命令申立は1審で却下され、抗告、特別抗告でも変更されなかったが、診断書により「暴力があった」と認定されたことが禍根となった。離婚訴訟手続で、カルテ・検査結果など資料一式の送付嘱託申立をし、妻側から任意に提出されたところ、虚偽の診断書であることが判明した。また、妻が、保護命令申立事件の審尋で治療内容について嘘を述べていることも明らかになった。

ことほど左様に、DV保護命令の手続自体、適正手続を保障した憲法31条に反するもので、あっという間に「保護命令」が出されてしまう。それは、「配偶者間」という気易さと、命令の効力が6ヶ月ということもあるのだろう。6ヶ月後に再度の申立がされて、初回から却下されるべきであったとわかる「却下決定」がされたケースもある。

ところで、「DV防止法」の本当の害悪は、平成16年の改正で「援助」の規定が盛り込まれたことである。それは、「子どもを連れて夫の知らないところに引っ越す際に、警察に対して、夫が捜索願を出してきても受理しないでほしい」という「捜索不受理届」がされると、夫は妻子の行方を知ることができなくなる。しかも、妻が「DV被害者」と自己申告しさえすれば、その他に何の要件も必要としない。これでは、「DV冤罪被害者」が世に溢れるのは当然である。ちなみに、平成20年の警察への「相談」は2万5000件、裁判所への保護命令申立は3000件。かように、保護命令の申立などしなくても、妻は目的を達するのである。換言すると、DV防止法の運用実態は、家庭破壊を教唆したうえ、子の拉致・隠匿を権力的に援助するものとなっている。

3.人身保護請求---誘拐犯よりも迫害される「親」

平成19年12月、妻が「DV被害」を装って、子を夫に託す置手紙を残して単身家出した。その後、気が変わって、子の親権を主張し、「監護者指定・引渡し」の家事審判・保全処分を申立てた。裁判所は、「DV」ということに気を取られたのであろう、いずれも認容する決定をし、保全執行がされたが、子が嫌がったため、執行不能になった。すると、本案審判が確定しているのに、人身保護請求をしたのである。「請求者」である母は、「本案強制執行は子どもを傷つけるから・・」というのである。しかし、これは「拘束者」である父に勾留の脅しをかけて、嫌がる子どもを差し出させることには平然としているのだから、人倫にもとるし、人間性に対する冒涜というほかない。

ところが、裁判所は、人身保護命令を発し、被拘束者が出頭していないのに第1回審問期日を行い、第2回審問期日には勾引状を発したうえ、認容の判決をしている。

このケースでは、そもそも妻が子どもを残して家出したのだから、人身保護法にいう「拘束」の事実が存在しない。家事審判で妻が監護者と指定され、夫に子の引渡しを命じたことで夫の監護が違法となるにしても「拘束」が生じるものではない。また、請求の要件である「他に適当な方法がない」という点でも、本案審判の強制執行ができるのだから、要件を充足しない。したがって、人身保護命令を発する要件に欠けている。

さらに酷いことに、弁護士会の推薦で選任された子どもの国選代理人は、「被拘束者不出頭のまま審問期日を開いても不利益はないから異議がない」と述べている。そうであっても、法律上、第1回審問期日を開くことはできず、「延期」しなければならないのに、裁判官たちは無知なために開いたのである。人身保護法の第1回審問期日は、刑事手続の「勾留理由開示公判」に擬せられるもので、憲法34条後段に基づくものなのだ。

しかるに、父母間の「子の身柄奪取」の手段として、家事審判と連動する形で運用されている。親権喪失事由のない親が、どうして国家権力からこれ程の迫害をうけなければならないのか。誘拐犯でさえ、適正手続保障を受けたうえ、刑罰は懲役7年以下である。結局、親権喪失事由のない親から離婚時に親権を剥奪する単独親権制に根本原因があると思われる。

4.「親権喪失宣告」を離婚で流用するな!

「DV被害者」と称する妻は、それを理由に夫の親権者不適格を言い募る。しかし、それなら「親権喪失宣告」の申立てをしたらよかろう。DVをでっち上げて行方をくらまし、子どもを隠匿している妻が、申立てをするはずがないが、それは夫に親権喪失事由がないからである。

また、人身保護請求をする配偶者も、他方配偶者に親権喪失事由がないことを熟知している。「監護者指定・引渡し」という、単独親権制を離婚前に準用した司法判断を錦の御旗にしているにすぎない。

かように、離婚後単独親権制は、親権喪失事由のない親から親権を剥奪する不正義なものであり、それを活用する親こそ、親権濫用として、親権を喪失させるべきではなかろうか。そうすることによってのみ、「家庭に正義を、子どもに愛を」という家裁の存在意義を達成できると思われる。

 

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