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コラム・弁護士

 
   

入学案内あれこれ

清水 淳子

2015年10月

弁護士 ・ 清水 淳子

卒業してウン十年になるけれど、未だに母校から半年に1回くらいの割合で「寄付しろ」の便りが届く。

ま、それは置いておいて(←文学部なので司法試験で世話になった記憶がなく薄情)、一緒についてくる「今大学はこんな感じになってます」という入学案内もどきの冊子はなかなか興味深い。

「早稲田からWASEDAへ」(あ、母校がバレた。)

漢字をローマ字にすればいいのか!?という疑問がわくが、中身を見るとなるほどずいぶん様変わりしている。

まず知らない学部がたくさんできて、びっくりする。理工学部はいつの間にか基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部の3つに分かれて、もともと理工学部が何をするのか分かっていなかったではあるが、今やそれぞれ何を目指して何を勉強するのか、区別する必要はどこにあるのか、全く分からない。

また文学部とは全く別物らしいが「文化構想学部」というのもあるらしい。「体系的な教育課程と、全学的な教育環境と学生生活環境のもとに、多様な学問・文化・言語・価値観の交流を育み、地球社会に主体的に貢献できる人材を育成する。」そうだ。さっぱり分からん。青年海外協力隊で井戸掘る人を育てるみたいな感じか。

こうして見ると、今の学生さんは何だか楽しそうだな、と思う。私が入学したころは文学部=ツルゲーネフとかを静かに読んでいる、商学部=帳簿見ながら算盤はじく、みたいなステレオタイプのイメージがあったけれど、面白味はなかった。面白味はないけど、大学ってそんなもの、という開き直りで受験していた。

今の学生さんは、面白味を感じながら学部での勉強ができるわけで、きっと授業も楽しく受けているんだろうな、さぼったりしないんだろうな、友達に代返頼んだりしないんだろうな、エライな、と感心してしまう。

 

ところで昔の入学案内は「こんなことやってます」程度で全学部併せても30ページくらいなものだったように思うが、今や200ページ弱。学部が増えたとはいえ、あまりの充実ぶりにめまいがしそうだ。電話帳か!?

 

こんなことしていたらよその大学案内も見てみたくなった。

勉強ができて上品かつ親しみやすいデキた社会人を輩出するイメージの上智大学。入学案内にはちゃんとザビエルが載っていた。ザビエルですよ!しかも年表つき!!。 早稲田の案内に大隈さんが載っているのよりインパクトがある(ごめんなさい)。ザビエルさん、下手な戦国大名よりよほど有名だもんねー。いいなー。

どこの大学も「国際化」「国際人」とかまびすしいので、「国際」を謳わない大学はないのか、探してみた。

さすがに防衛大学校に「国際」は関係ないだろうと思ったら、アテが外れた。 成績優秀な生徒は海外留学させてもらえるというくだりがあって、「自分、留学しました」写真が掲載されていた。これが、いかにも「士官学校」的な金髪マッチョくんに加え士官学校生とは思えないグラマーな美女と並んだ写真が掲載されていた。「海外にもいけるし、グラマーなお姉ちゃんとも会えるぜ!」というのを売りにしていいのか?

自然に還ろう、スローライフな学校はどうだ?と思うと、これがとても味わい深い。 長野県が開設している林業大学校はとても硬派だ。山に入って木を切ってふもとに下ろしてくる技術だけでよさそうなものだが、自然を相手にする仕事だけに、山や川、大地、大自然に対する敬意がにじみ出ている。「人生を切り開く力を養う」そうで、ここまでくるとそのへんの大学の哲学科顔負け、ほとんど修行僧のような崇高さだ。

帯広畜産大学はYouTubeに大学案内ビデオがアップされていて、映像でキャンパスライフを垣間見ることができる。北海道の広大な大地で畜産を学ぶってすばらしい!!と思わせてくれるが、夏のさわやかな草原のイメージしか映っておらず、雪に埋もれた冬の様子が分からないあたり、景表法的(注1) にどうなんだろう?と思わざるを得ない。大学案内だからいいのか?

水産大学校はステキだ。「海から食卓まで 水産のあらゆる分野を学ぶ」 まるで「おはようからお休みまで暮らしを見つめ」てくれていたライオンのようだ(古いかな)。 生活に寄り添ってくれる感がにじみ出ていてとても好感が持てる。

ちなみに全く縁のないところも見てみようとハーバードのHPを見たらマット・デイモンさんが「役者をやろうと思って入った」みたいなことをしゃべっていた。役者やりたくてハーバードかよ!?と思うが、何ともカジュアルな入学案内だ。

 

さて、東京には「東京弁護士会」「第一東京弁護士会」「第二東京弁護士会」と弁護士会が3つあって、東京で仕事をする弁護士はこれのいずれかに登録することになる。 もしも弁護士会が学校だったらどんな入学案内を作るのだろう?

「国際的な弁護士を育成します」

今どきは猫も杓子も「国際的」と謳わないと生きていけない世の中なので、やっぱり言うだけ言うのだろうな。もちろん国際的な弁護士が必要なご時世であることは確かだけれど、全員が国際派にならなくてもいいとは思う。それを言っちゃあおしまいか。

「リーダーを育てます」

育てなくていいよ!だいたい弁護士やるような人って、そんな人ばかりなわけだ。世間一般のリーダー体質が100人中10人程度なら、弁護士のリーダー体質は100人中40人くらいいる感じ。これ以上リーダーを育てたら船頭ばかりで弁護士会は船が沈んでしまう。

「問題を見つけ、解決する力を身に付けます」

大学の案内とかではよく見かけるこのコピー。しかし何だろう、この異和感。 弁護士の場合それが仕事だからか。わざわざ言われると軽くイラっとくるかも。

「自然と共存します」

そうだねぇ、自然は大事だよねぇ。でも何をどうするのか? 。1人5鉢観葉植物を置こうとか(それが自然保護になるかどうか不明)、夏の冷房温度は28度にしろとか(暑がりではないシミズですら無理。「温度設定の自由は憲法上の権利だ!」とか言う輩がたくさん出てきそう)、冷蔵庫はこまめに閉めるとか(そもそも冷蔵庫開けてぼーっと眺める弁護士はいないと思うが)、要らない灯りを消そうとか、ゴミを減らそうとか、うーん、だんだん小姑っぽくなってきた。

「ともに大海原に乗り出そう」

とても威勢が良くて夢いっぱいな感じだ。大海原=道の領域・フィールドでも果敢に挑もう、という理念は良いけれど、弁護士会が「ともに」「乗り出して」くれるとは思えない。そういう意見の理事者がいたとしても、「そんなリスク負えない」という反対者が出ておしまいだ。そして落ち着くところが「大海原に乗り出すあなたを応援します」。 これでアピールするのだろうか? 。でも「ともに乗り出そう」と言って八丈島・三宅島ツアーとか主催していたらそれは面白いかも。

「打たれ強い人間形成を目指します」

これはいいな。 「思わぬ証拠が出てきて大ピンチに陥ったときも平常心で反対尋問できます。」 「チンピラ、やくざ、ヤミ金が目と鼻の先3センチでわめき散らしてもびくともしない精神力を醸成します。」 さすがにこの年になるとひどくうろたえることはないけれど、あまりに想定外だったり、音量が大きかったりするとどうしても脈が上がるのね。こんなカリキュラムあったらいいなぁ。

 

こんな案内あったらいいなぁ、と思っていたらシミズが登録する第二東京弁護士会のホームページには修習生向けの案内があった。(「司法修習生の方へ」「二弁はこんなところ」) 何と、シミズが考えたコピーはひとつも入ってない。残念!

 

(注1)

商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする法律。ウソ・大げさで消費者をだますのは許さんぞ、というJAROみたいな法律ですな。

 

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