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コラム・弁護士

 
   

「夫婦別姓」と「単独親権」

後藤 富士子

2015年11月

弁護士 ・ 後藤 富士子

1.今月4日・・・

今月4日、「夫婦別姓」訴訟で最高裁大法廷の弁論が開かれた。朝日新聞(5日朝刊)によれば、弁論後の記者会見で原告団長が「名前は、私にとってはどうしても譲れない。命そのものなんです。」と訴えた。旧姓を名乗るため、当初は事実婚。子どもが生まれるたびに結婚と離婚を繰り返し、夫の籍に入れた。最終的には法律婚にしたが、「愛し合う2人に別姓での結婚を認めてほしい。」という。

しかし、そこには「法律婚でなければ結婚に非ず」という、事実婚差別意識が透けて見える。子どもを父親の戸籍に入れるためだけに結婚・離婚をする理由はない。事実婚でも、非嫡出子ではあるが、子を父の戸籍に入れることはできる。結局、「自分の子を非嫡出子にしたくない」というだけではないのか? しかも、父の単独親権を容認するのだから、看過できない。

2.「事実婚」の不利益・・・

「事実婚」の不利益として挙げられるのは、夫婦で共同親権を持てない、法定相続人になれない、配偶者控除など税金優遇を受けられない、生命保険の受取人や住宅ローンの連帯保証人に当然にはなれない・・などである。しかし、これらはいずれも法律婚優遇策であり、「逆差別」というべき代物である。「差別をなくせ」というなら、このような法律婚優遇策をこそなくすべきである。

一方、「夫婦別姓」は「家族の多様性」という文脈で語られることもある。しかし、今や「同性婚」こそ「多様な家族の在り方」として市民社会に認知されようとしている。性転換手術などせずに、あるがままの同性同士が「家族」として暮らしている。「同性婚」に「法律婚」の道が拓かれるのは頗る困難であるが、そんな法制度と関係なく、自己の生き方として事実上の「同性婚」を実行している。

同性カップルも、「事実婚」の不利益を共有しているが、こちらは「別姓」で解決できるものではないから、目前の「不都合」「不具合」「生きにくさ」を具体的に克服していくことに注力する。それこそが、社会のシステムを変えていくことにつながる。現に、生命保険受取人や携帯電話の「家族割」など、企業の対応が拡がっている。むしろ、法律婚として別姓制度をとりいれることは、事実婚差別を強化するだけではないだろうか。

3.今月2日の・・・

今月2日の朝日新聞朝刊によれば、「結婚すると夫婦が同姓を名乗るよう法律で義務づけている国があるかどうか」という糸数慶子参院議員の質問主意書に対し、政府は、「現在把握している限りでは、我が国のほかには承知していない」と答弁書で明らかにしたという。

しかし、外国の制度として紹介されているのを見ると、中国・韓国は完全別姓、タイ・ドイツは、夫または妻の同姓と各自の別姓を選択できる。ドイツは、それに加え結合姓も可能とされ、ロシアは、結合姓も含む4種類の中から選択する。
興味深いのは、イタリアとフランスである。イタリアは、夫は自分の姓、妻は結合姓。フランスは、各自の姓(つまり完全別姓)であるが、妻は夫の姓を名乗ることも可能とされている。

なお、フランスとドイツでは、第1子の非嫡出子割合は過半数である。おそらく、「子どもを非嫡出子にしないために法律婚する」などという観念はないのではないのだろうか。すなわち、個人の幸福追求は、法律婚制度自体を突き破るのである。

一方、大法廷で弁論した弁護団事務局長打越さく良弁護士によれば、「結婚により96.1%の女性が夫の氏になり、事実婚では経済的負担があるなど女性のつらい現状を涙をこらえて訴えた」という(5日しんぶん赤旗)。96.1%の妻は、経済的負担を回避するために夫の氏を選んだわけではないはずである。選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する女性たちも、多数派は、自分が結婚する際には夫の氏を称すると答えている。

4.民法は・・・

民法は、「婚姻中は父母の共同親権」とし、未婚や離婚は単独親権である。未婚の場合、民法の規定では母が原始的単独親権者である。離婚の場合の単独親権者について統計の正確な数値を知らないが、8割以上(9割?)が母の単独親権になっているのではないかと思われる。

そして、母子家庭の「子どもの貧困」が社会問題となっている。ちなみに、1980年にカリフォルニア州で共同養育法が制定されたのは、父母が離婚しても子どもの養育に責任をもたせるためであった。また、子どもの虐待死事件があると、児童相談所の責任が問われたりするが、児童相談所がやっていることは、「親子引き離し」「長期施設収容」にすぎず、子どもに家族的環境を与えることはできない。

ところで、「子どもの権利条約」で謳われているのは、子どもは家族的環境の中で両親に養育される権利を有するということであり、国は、その実現のために親を援助する責務がある。しかるに、日本の児童相談所や家庭裁判所さらに弁護士は、全く条約を無視している。「家族の多様性」が子どもを犠牲にすることがあってはならない。そのためには、父母の婚姻関係の有無にかかわらず、父母の共同養育が法的な責務とされ、国の有効な「子育て支援」策が講じられることを願ってやまない。

 

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