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コラム・弁護士

 
   

インクも凍る! 極寒の信州松本支部探検 その2

鈴木 周

2016年6月

弁護士 ・ 鈴木 周

年が明けてからも暖冬傾向が続き、「こりゃ松本もポカポカ陽気だな。インクもへったくれもないな。」と思っていたら、1月半ばから突如この冬一番の大寒波が襲来し、19日には東京も大雪となり、電車等の大混乱が発生した。東京がこのような状態なので、松本はさぞやと思っていたが、やはりそのとおりで、決行日の21日(木)は晴れるものの、最低気温は−5度、積雪は25cm(相当な量だ)の予報となっていた。そのため、私は隊員たちに、「服装注意。特に足元。」との注意を促したが、山本純一隊員からは「いつもの革靴しかありません。」という返事が返ってきたのだった。この人は長岡のときもそれでひどい目にあったのに学習しない人なのであった。しかし、まあ、比較対象にはよいかも知れない。

そして当日、私は起床後、玄関前に置いておいた温度計を見たところ、「お、−3度。さすが大寒。東京でもこの寒さか。」と思って、自室で松本の天気中継を見たところ、なんと−9.6度になっていた。「こりゃたまらんなあ…。」ということで、長岡に続き、防寒対策のためにスパイダーマン様のハイパー股引上下を着用し、その上におろしたてのコナカのスーツ(必要十分。ベスト付でとてもカッコ良い。)を着こみ、靴はひざまである釣り用のゴム長を履いたら、ベストとのバランスがメチャクチャになってしまった。

他の隊員は10時丁度に新宿からあずさ号に乗る予定になっていたが、私は立川で10時25分に合流することとなっていた。それで立川に向かう南武線に乗っていると、ケータイに電話が入ってきたので、誰だろうと思ったら、水戸の鈴木大輔隊員であった。彼は長岡探検の際、帰りの新幹線に乗り遅れ、寒風のホームで1時間待ったという剛の者であったが、なんと「すみません。寝坊して電車に乗れません…。」とのことであった。「オマエというヤツは、またやらかしよってからに…。市川の実家に泊まったんじゃなかったのか。」「それが築地の友人宅で寝過ごしまして。」「女の家だろう。」「いえ、決してそんなことはございません。」「それじゃしょうがない、一本遅いあずさ号で来なさい。着いたら電話するように。」ということになった。

私は10時少し前に立川駅につき、一旦改札を出て、松本へのお土産を買いに伊勢丹に寄った。開店時に店員がずらりと並んで頭を下げている中、ゴム長のオジさんは顔から火が出るような思いで通り抜け、そそくさとデパ地下に向かった。デパ地下で売っているものは京都の品ばかりで困ってしまったが、錦松梅のお姉さんに「錦松梅って東京ですか。」と聞いたら、「新宿の四谷です。」と言うので、「それデス!それを下さい。」と申し述べ、ふりかけ子袋5パック入りのを無事購入できた。その後、お弁当を買ってあずさに乗りこみ、山本純一、西岡毅の両隊員と、今回初登場の横浜の山崎倫樹隊員、そして阿曽山大噴火氏と無事合流できたのだった。10時半なんだから当然だが、私以外の隊員はお弁当は持っておらず、「それじゃオレだけ頂くとして、あとで裁判所の近くのお店に入ろう。いつも弁護士さんとか職員の人が行くようなお店で、ラーメンとかカレーとか食べてみたいね。」ということになった。

新宿から松本までは240kmもあるので、特急あずさ号でも2時間半の旅程である。それにしても、こないだ若い会員と飲み屋で話をして驚いたのだが、今の若者は、狩人の「あずさ2号」(昭和52年、竜真知子作詞、都倉俊一作曲)なんてまるで知らないのであった。「あれはね、新宿でホストに振られた女が、ヤケになって特急券買って、八王子の自宅に帰る歌だよ。」とか言っても、「へー、そうなんですか。」などと納得される始末で、「オレも齢を取ったのだなあ。」と嘆いたものであった。ちなみに、8時丁度の「8時」とは朝の8時で(知らなかった)、昔の男を思い出しながら、今の男とともに信濃路を旅行する女の歌だ。場所は特定されていないが、美ヶ原や上高地を擁する松本は最有力候補だ。河童橋を二人で歩きながら「あの人と来たかった…。」とか思い出すのだろう。隊員たちと私は、「とんでもない女だ。」「冷静に考えるとひどい歌だなあ。」「一緒にいる男が可哀想だ。」「弟の方が微妙に上手いんだよね。」などと、好き勝手に感想を述べ合ったのだった。

シートを向い合せにしてワイワイ話をしていたのだが、八王子を過ぎたあたりから積雪が多くなって、相模湖、上野原と進むにしたがって雪山の雰囲気となり、甲府からは井上昌幸隊員が合流してきた。私は以前から、「あずさ」と「かいじ」の区別がよく分かっていなかったので、井上隊員に「かいじって東京始発で、あずさって新宿始発なんだっけ。」と言ったところ、「いずれも新宿が大半です。」ということであった。「それじゃ、全部あずさにして、一部甲府止りのもあります、ってすればいいんじゃないの。」と言ったら、「そ、そんなことは山梨県民が絶対に許しません!」ということで、余人には計り知れない両県民のパワーバランスがあるらしいことが分かり、「そうか、悪い事聞いちゃったね…。」などとフォローしたのだった。

インクも凍る! 極寒の信州松本支部探検 その2

甲府を出て、諏訪、塩尻に差し掛かる頃になると、車窓の風景は、完全に雪原となり、道にも屋根にも雪が積もっていた。あれ、しかし、ここは前に来たことがあるような気が…デジャブーか?それとも前世はこのあたりにいたのか? と思ったら、私は10年位前に、夜逃げした債務者を追って、塩尻まで来たことがあったのだった。デジャブーじゃなくて単に忘れてただけであった。あの時は、債務者の近所の薬局で聞き込みしたところ、怪しいヒゲの男と思われたのだろうが、何も教えてくれなかったので、丁度切らしていたリアップ(3800円)を買ったところ、店のオヤジが「…ダンナも悪い人だね、フフフ。アイツはあそこに逃げたらしいぜ。」とかペラペラ全部教えてくれたのだった。薬効とはまるで関係ないが、リアップの威力は絶大であった。まだ個人情報保護法施行前の牧歌的なエピソードである。

インクも凍る! 極寒の信州松本支部探検 その2

松本駅には定刻どおり12時30分に到着した。ホームに降り立った途端に、「あ、寒!」ということになるかと思ったら、特にそういうことはなく、「東京よりちょっと寒いかな。なんか空気が澄んでいる感じだね。」と感想を述べ合った。日照時間は日本トップクラスだそうだから、お日様が出ている間はそれほど寒くないのだろう。

この日は、まず司法博物館に先に行くはずだったのだが、合流予定の北尾トロ氏が、「もしかしたら、午後は少し遅れるかも知れない。」とのことで、さらに刑事部の鬼虎書記官が「すんません。刑事事件は結局入りませんでした…。」ということだったので、「傍聴できないんじゃ、トロさんにも悪いし、先に裁判所に行って、司法博物館で合流しよう。」ということになった。駅の地図で確認したところ、裁判所は松本城の裏手にあり、歩いて15分程度であった。「近いみたいだから、メインストリートを散策しながら歩いて行こう。この『井上百貨店』というのがきっと一番の老舗デパートなんだね。どんなものか見てこう。」と言いつつ、駅の外に出ると、さすがに雪が多く、あちこちに50~60cmの高さで積んであった。革靴組は大変だろうが、ゴム長の私と阿曽山氏は、「フッフ。だから言わんこっちゃない。郷に入らばなんとやら。」とほくそ笑んだのであった。

インクも凍る! 極寒の信州松本支部探検 その2

駅周りは仮設の店舗が沢山並んでおり、ラーメン店やお蕎麦のお店が入っていた。長岡でもそうだったが、やはり郊外の大型店舗に押されて、駅周りはだんだん寂れつつあるようだ。と思っているうちに井上百貨店に到着した。甲府の井上隊員は、「おお、これは、山梨なら『岡島』です!」と感嘆の声をあげていたが、何のことやらさっぱり分からなかった。井上百貨店は綺麗で立派なデパートであったが、あんまりお客さんも入っていなさそうで(平日のお昼だから当然だが)、渡り廊下にはダイソーの文字が躍り、百均に軒を貸す老舗の無念さが伝わってきた。

インクも凍る! 極寒の信州松本支部探検 その2

そこから、目抜き通りを裁判所に向かってひたすら北上(なのか)したが、松本市街は期待以上に面白い街で、オフィス街に突如「日本最大級のキャバクラ」が現れたり(「級」に怪しさと保身を感じる)、街一番の高級ホテルのレストランがガストだったり、なぜか実印屋がそこら中にあったり、「飯ライス食堂」という同義反復の定食屋があったり、工事車両がキリンだったり、「木の家に住もう!」という工務店が立派な鉄筋5階建てだったり、どうみても地中海料理屋みたいな蕎麦屋があったり、興味深い見どころが沢山あり、隊員一同感心しながら歩いたのだった。もちろん、歴史ある地方の中都市らしく、街は綺麗で、道路幅は広く、遠くには北アルプスの山々が連なり、若い男女が集うという伊勢町でさえ浮ついたところのない落ち着いた雰囲気で、大変好感が持てた。

駅前から10分も歩くと、いわゆる繁華街からは抜け、今度はお城の周りの官庁街然とした区域に入ってきた。このあたりは除雪も十分ではなく、歩道も一面雪だったので、ゴム長の2人以外は徐々に遅れ出し、私と阿曽山氏は「キヒヒ、遅いから置いてこう。安藤さん待たせてるし。」ということで、モタモタする隊員たちを置いてさっさと先を急いだのだった。

インクも凍る! 極寒の信州松本支部探検 その2

この辺りから、前方右手に国宝の松本城が見えるようになった。松本城は、4階建なのかな、あまり大きなお城ではないが、華美なところがなく、スッキリとしてバランスがよく、私の大好きなお城だ。なんとなく、「お城の銀閣寺」という感じがする。

お城を半周した丁度裏手が長野地裁松本支部であった。3階建でこじんまりとしているが、ここに家裁も簡裁も全て入っている。外観は、ちょっと高原のプチホテルみたいな感じだが、おそらく屋根の意匠と、全て同一規格の窓がそう見せるのだろう。裁判所入口で本日の案内をしてくれる安藤弁護士(松本)と宮坂大吾弁護士(諏訪)と合流し、お土産を渡して挨拶しているあたりで、後続の革靴部隊が追い付いてきた。

【以下次号】

 

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