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コラム・弁護士

 
   

灼熱の熊谷支部決死の千里行
【その2】

鈴木 周

2012年8月

弁護士 ・ 鈴木 周

いよいよ8月1日、決行の日が来た。隊長である私は黒い背広にネクタイを締め、カメラ、ICレコーダー、着替え、そして忘れちゃいけない温度計を持って新宿駅に向かった。あ、暑い、東京でも十分暑い…。熊谷についたら一体どうなってしまうのであろうか。

午後1時20分、東京駅の「銀の鈴」前で、山本純一氏、西岡毅氏、阿曽山大噴火氏の各隊員と合流し、弁当とビールを買って上越新幹線に乗り込んだ。年中スカートの阿曽山氏を除く3名はいずれも黒背広+ネクタイで、通り過ぎる人が「アラ、この暑いのに何かしら?」とチラチラ見るのが分かる。ビールは当初禁止にしていたが、グランスタで数々の美味そうな弁当を見ているうちに、隊長から「まいっか」という許可が出、鉄の掟はアッサリと撤回されたのだった。しかも、隊長が500t×4本を購入したところ、西岡隊員もこれと同量を購入していたため、探検は序盤から酒盛りの様相を呈することとなった。

なお、乗車前に、新幹線ホーム上で気温を図ったところ、28度からピクリとも動かず、「んなわけないだろ。コレ、壊れてるんじゃないのか?」と、持参の温度計に対する疑念が高まった。

熊谷までの40分の道中、ビールを飲みながらワイワイと話をしていたが、阿曽山氏から、「どの裁判所でも月末と1日は刑事の開廷が少ない。おそらく本日も開廷していないのではないか。」という重要情報がもたらされた。さすが傍聴芸人、仕事に直結するだけに、そのあたりの情報には通じているようだ。しかしせっかく行って民刑事ともに開廷してなかったら結構空しいナ…。また、同氏が「一般の人で支部めぐりをしている人はあまりいないが、ドッカンめぐりをしてアップしている人がいる。」と言うので、「ドッカンて何? なんか破裂してんの?」と聞いたところ、「え? 弁護士さんが知らないんですか。」と逆に驚かれてしまった。聞けば、ドッカンとは、「独簡」のことで、地裁や支部にくっついていない独立の簡易裁判所で、小っちゃくて可愛いから、写真とって回るのが好きなマニアがいるとのことであった。東京で言うと、立川簡裁はドッカンではないが、八王子簡裁はドッカンということになる。法律用語ではないだろうが、裁判所のサイトを見るとちゃんと「独立簡易裁判所」との記載があり、プロでも知らないマニアの世界があるのだなあ、と感心した。

灼熱の熊谷支部決死の千里行【その2】

そうこうしているうちに、新幹線は熊谷駅に到着した。ホームに降り立った途端、一同「ウオアー、なんじゃー、この暑さは!」と驚愕した。これはもう東京駅と比較すると、2段階くらい暑く、もはや「こんなとこにいるとヤバイよ」という雰囲気十分であった。が、それは熊谷中どこに行っても同じなので、逃れることはできないのであった。体感的には東京より3〜5度くらい高い印象であり、ホームに温度計を出したところ、新幹線内の温度だったのか25度からなかなか上がらず、再び、「どうなってんだこれ。壊れてんじゃないのか?」との疑念が湧きあがり、「もう暑いから行こうぜ。」ということになった。

駅の改札で、駅員さんに熊谷駅名物のミストシャワーの場所を聞くと、「どちらの出口にもありますよ。」ということだったので、裁判所方面である北口に出た。すると、約50mにわたり、頭上2mくらいのところから下に向かって霧状の冷気がホワホワと放出されていた。勢いというものがまるでなく、事前にサイトで見た時には、「あはは、こんなのなんか意味あんのか?」などと笑っていたが、この暑熱の中で体験してみると、直接的には冷えないが、なにかその近辺が1〜2度低いような、そうでもないような微妙な心持であった。涼気を演出する風鈴のような役割を果たしているものと思われる。

記念撮影の後、午後2時30分、タクシーに乗り込んで一路裁判所へと向かう。小型タクシーに男4人ではギューギュー詰めで、暑苦しいことこの上ないが、それもまた一興というものであろう。運転手さんは、ゴマ塩頭のベテランで、「太陽にほえろ!」の長さん似の人であった。親切そうな人だったので、情報を得ようと思い、「実はどのくらい暑いか取材に来たんです。」と告げると、大変に喜んでくれた。予想通り、熊谷市民は地元が日本一暑いという事に対して日々誇りを持って暮らしているようだ。「40.9度の時はどうでしたか。」と聞くと、「いやあ、本当に暑かったよ。それに比べりゃ今日なんかずいぶんマシだよ。」との回答を得た。後の公式発表を見たら、この日の気温は35度だったそうなので、実際には相当な暑さだと思うが、「遠来の客には、熊谷の暑さがこの程度だと思ってほしくない。」ということなのであろう。ところが、「あの日は、多治見も40.9度だったんですよね。」と、話がライバル岐阜県多治見市に及ぶと、急に長さんの声が鋭くなり、「いやね、多治見の人には悪いんだけどね、オレあの日温度計で測ってたんだよ。本当は43度あったんだよ。フフフ。」とのことであった。同じことを多治見の人たちも言ってそうだが、それ以上突っ込むのはマナー違反というものであろう。しかし、彼は、まだ多治見に差を付けたいらしく、「あの日はね、タクシーのボンネットに卵落としたら油も引かないのに目玉焼きが焼けたんだよ。油引かないでだよ。」とのことであったが、油の有無は何の意味もないように思われた。が、それ以上突っ込むのもマナー違反というものであろうから、「ひゃー、油引かないのにですか?」等と驚いたところ、「ウフフ、でしょう?」などと、一応の満足を得た様子であった。その後、裁判所につくまでの間、「駅前の巨大なラグビーボールの銅像は、昔、熊工が強くて全国大会に出た時の記念である。」、「熊谷名物は五家宝とウドンである。」、「寿司屋はどこも高くてまずい。」という、殆ど役に立たない情報も収集することができた。

裁判所には10分弱で到着した。タクシー料金は1000円ほどであった。裁判所前に降り立ってみると、まず「ありゃ? 新品になってる!」ということに驚いた。後に知ったことだが、昨年4月に建て替えが完了して、庁舎が新品ピカピカとなったのだそうだ。前に来たのは4年位前で、その時もそんなにボロでもなかったので、何か予算のサイクルなど、大人の事情があったものと思われる。早速構内に入り、エントランス前で記念撮影しようと思ったら、阿曽山氏が「ダメダメ、裁判所内は撮影禁止ですよ。」と言うので、「え、ホント? 法廷じゃなくても?」と言ったら、「そんなことも知らないんですか?」と再び驚かれた。さすが傍聴芸人、我々の知らないことをよく知っていると感心し、一度表に出て裁判所の看板前で記念撮影をした。

背広ネクタイで炎天下にいるんだから当然なのだが、本当に暑い。ズボンの中なんてウナギ状態だ。私は前週に2回もコンペに参加して耐性が出来ていたので割合大丈夫だったが、山本・西岡両隊員はもうヘロヘロの状態で、もはやうわ言のように「アチアチ」しか言えない状態となっていた。

こりゃ危ない、ということですぐにクーラーの効いた庁舎内に戻り、案内板で内部の構成を確認した。ところが、「ないよ、ないない、地下食堂がない! ていうか地下自体がない!」ということが判明してガッカリした。支部めぐりの一番の楽しみは、地下食堂を探検し、「こんな暑いのに冷やし中華がないなんて、どこの業者入れてるんだろうねー。」(隊長)、「ねー。」(隊員一同。これは立川支部建築当初の話)などと論評し合うとこなのに、大変残念であった。しかし、道中で見たところ裁判所付近にはカレー屋が一軒あっただけだったが、皆さんお昼はどうしているのであろうか。また、驚いたことに、この大きさの支部なのに売店がなく、「印紙や切手などをどこで購入すればいいのだろうか?」という疑問も湧いた。

「それじゃ、せっかくだから傍聴しようか。」ということになり、開廷表を見たところ、阿曽山氏の予言通り、刑事裁判は入っていなかった。一応、水曜は開廷日ではあったようなので、刑事部は既に夏休みに入っていたのだろう。それで仕方なく、「民事でもいいや。今証人尋問やってるから見てこう。」ということになって、4人で4階の法廷に入った。入った途端、裁判官、書記官、当事者、代理人が一斉にこちらを見、明らかにギョッとなっている様子であった。それはそうだろう。この事件と何の関係も必要もないのに、黒背広の3人組+金髪スカートの男がドヤドヤ入ってきたら、「一体この人たち何?」と思うのは当然だ。正直に、「暑さを堪能しにきたんです。傍聴はついでです。すぐ帰りますから気にしないでください。」とか言ってあげたかったが、そういうわけにもいかず、4人ともムッツリ黙りつつも、お行儀よく席についた。

 

〜 灼熱の熊谷支部決死の千里行【その3】へ続く 〜

 

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